休職が決まったものの「何をしたらいいかわからない」「何もしていない自分に罪悪感がある」と感じていませんか。休職中に焦る気持ちが出てくるのは、とても自然なことです。
しかし、休職中は「休むことが仕事」です。何もしない自分を責める必要はまったくありません。焦りや罪悪感は、実は病気の症状の一つでもあります。
この記事では、休職中にやってはいけないことと、回復に向けた過ごし方のステップを解説します。産業カウンセラーとして多くの休職者を見てきた経験から、安心して休むためのヒントをお伝えします。

休職中にやってはいけないこと
1. 「早く復帰しなきゃ」と焦る
焦りは回復を遅らせます。「今は休むことが仕事」と割り切りましょう。
休職した人のほとんどが最初にぶつかるのがこの「焦り」です。「みんな仕事してるのに自分だけ…」「このまま社会復帰できなくなるんじゃ…」という不安。しかし、これはうつや適応障害の症状のひとつです。不安や焦りを強く感じること自体が、まだ回復途中だという証拠です。焦っている自分に気づいたら、「これは症状だ」と認識してください。
2. 自己判断で薬をやめる
「調子が良くなったから」と勝手に薬をやめると、症状が再発するリスクがあります。必ず医師の指示に従ってください。
特に抗うつ薬は急にやめると「離脱症状」が出ることがあります。めまい、吐き気、頭痛、イライラなど。必ず医師と相談しながら、少しずつ減薬していくことが大事です。
3. SNSで仕事関係の投稿を見る
同僚が仕事をしている投稿を見ると、罪悪感や焦りが増します。休職中は仕事関連のSNSは見ないのがベストです。
できれば、会社のSlackやTeamsの通知もオフにしてください。仕事の情報が入ってくると「あの案件どうなったかな」と気になって、休めなくなります。
4. 自分を責め続ける
「みんなに迷惑をかけている」「自分は弱い」…こう思うのは自然ですが、うつ病は病気であって弱さではありません。風邪を引いて休むのと同じです。
5. 大きな決断をする
転職、離婚、引っ越し…メンタルが不安定なときに大きな決断をするのは危険です。回復してから冷静に判断しましょう。
うつ状態のときは思考がネガティブに偏りがちです。極端な結論に飛びつきやすくなるので、大きな決断は回復後に先送りしてください。
6. 旅行やアクティブな活動をSNSに投稿する
回復してくると外出したくなりますが、SNSに投稿すると会社の人に見られて問題になることがあります。休職中のSNS投稿は控えめにしましょう。
休職中の「罪悪感」との向き合い方
休職中、最もつらいのは体調よりも「罪悪感」だったりします。
罪悪感のパターン
- 「みんなに迷惑をかけている」
- 「自分は怠けているだけなのでは」
- 「こんなことで休むなんて弱い」
- 「お金をもらっているのに何もしていない」
- 「世間体が気になる」
罪悪感への対処法
- 「罪悪感は症状のひとつ」と認識する:うつ状態では自責の念が強くなるのは医学的にも知られています
- 「骨折で入院している」と置き換えて考える:骨折したら「迷惑かけて申し訳ない」と思いますか?心の病気も同じです
- 主治医に罪悪感を伝える:医師は「それも症状ですよ」と教えてくれます

回復のステップ
ステップ1:とにかく休む(最初の1〜2ヶ月)
- 寝たいだけ寝る
- 何もしなくてOK
- 通院と服薬を続ける
- 罪悪感は「症状のひとつ」と認識する
この時期は本当に「何もしない」で大丈夫です。テレビを見る気力もない、ゲームもする気にならない、ただ布団にいるだけ…それでOKです。脳が回復するには時間がかかります。無気力の原因と対処法は以下の記事でも解説しています。

ステップ2:生活リズムを整える(2〜3ヶ月目)
- 決まった時間に起きる
- 3食食べる
- 軽い散歩を始める
- 家事を少しずつやってみる
少しずつ「やれること」が増えてくる時期ですが、調子の波があります。良い日と悪い日が交互に来ることがありますが、落ち込まないでください。回復は直線ではなく、波を描きながら少しずつ上向いていくものです。
ステップ3:社会復帰の準備(3ヶ月目〜)
- 図書館やカフェに出かける
- 人と話す機会を増やす
- 復職プログラム(リワーク)に参加する
- 復職 or 転職の方向性を考え始める
リワークプログラムについて
リワークプログラムとは、休職から復職する際に、スムーズに職場復帰するためのリハビリプログラムです。
リワークでやること
- 決まった時間に通所して生活リズムを整える
- 軽い作業(PC作業、グループワーク等)で仕事に近い活動をする
- 認知行動療法で考え方のクセを修正する
- ストレス対処法を学ぶ
- 同じ境遇の人と交流する
リワークのメリット
- 復職後の再発率が低くなる
- 「一人で抱え込まなくていい」と実感できる
- 復職への自信がつく
- 主治医以外の専門スタッフにも相談できる
リワークプログラムは、病院併設型、精神保健福祉センター型、就労移行支援事業所型など、いくつかの種類があります。主治医に相談して、自分に合ったプログラムを選びましょう。メンタルを強くするための具体的な方法は以下の記事で紹介しています。



傷病手当金について
休職中は健康保険から給与の約2/3が最長1年6ヶ月支給されます。
- 連続3日間の待期期間後、4日目から支給
- 会社の人事部を通じて申請
- 退職後も条件を満たせば受給可能
休職中の会社との連絡
- 月1回程度の報告で十分(会社の規定による)
- メールで済むならメールでOK
- 体調が悪いときは返信を遅らせても大丈夫
会社からの連絡が精神的に負担になる場合は、主治医に相談してください。「連絡の頻度を減らしてほしい」と診断書に書いてもらえることもあります。仕事から逃げたいと感じたときの考え方は以下の記事でも解説しています。



家族や同居人との関係
家族に理解してもらうために
休職中は家族との関係も変化します。「心の病気」を理解してくれる家族ばかりとは限りません。
- 主治医の面談に家族を同席させる:医師から直接説明してもらうと理解が進みやすい
- 分かりやすい資料を渡す:こころの耳には家族向けの情報もあります
- 「何もしないことが治療」と伝える:「怠けている」ように見えることが回復に必要だと理解してもらう
よくある質問(Q&A)
Q. 休職中に旅行に行ってもいいですか?
A. 回復段階であれば、主治医の許可を得たうえでOKです。ただし、SNSに投稿するのは避けたほうが無難です。
Q. 休職は何ヶ月まで取れますか?
A. 会社の就業規則によります。一般的には3ヶ月〜1年が多いですが、2年以上休職できる会社もあります。人事部に確認してください。
Q. 休職中に転職活動をしてもいいですか?
A. 法律的には問題ありませんが、傷病手当金を受給中に転職活動をすると「働けるなら手当は不要では?」と判断されるリスクがあります。転職を考えるなら、回復して傷病手当金の受給が終わってからがおすすめです。
まとめ:休職は「治療期間」。罪悪感は不要
- 焦らない・薬を勝手にやめない・SNSを見ない
- 回復は「休む→リズムを整える→社会復帰準備」のステップで
- 罪悪感は「症状のひとつ」として受け止める
- リワークプログラムの活用を検討する
- 傷病手当金で経済面もカバーされる
- 大きな決断は回復してから
一人で抱え込まないでください。休む勇気を持った自分を、褒めてあげてくださいね。休職は逃げでも負けでもなく、自分を守るための「前向きな選択」です。





